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?過給機が故障したときは、機関出力が減少する。
無過給機関に比べて圧縮比が低く、又オーバーラップが大きいので、過給機が故障して吸気圧が上がらなくなると、上死点で排気ガスがシリンダ内へ逆流し、その為に同一形式の無過給エンジンより出力が低下する。
普通、舶用エンジンの場合は過給機が故障した場合でも、タービン軸を固定または応急短絡管を用いれば規定回転数の50〜70%の回転数で使用する事ができる。
?低負荷において燃焼が悪くなる。
?過給機の取扱いや、保守に注意しなければならない。
(5)過給方式
前にも述べたように排気タービン過給機は機関の排気ガスエネルギーにより駆動され、機関に空気を供給しているが、機関の持つ排気ガスエネルギーを有効に利用することが重要である。その方法として各種の過給方式があり、現在実用化されているものに動圧過給方式(パルス過給方式)、パルスコンバータ過給方式および静圧過給方式がある。
動圧過給方式は、船用機関に現在最も多く採用されている過給方式であり、その名の示すように排気行程の排気ガスブローダウンの時のガスの動圧エネルギーを利用することを特長としており、ピストン頂部間隙容積内に残留する排気ガスを掃気し、吸入効率を改善するビュッヒ式掃気方式と併用することにより、十分な空気量を機関に供給でき、機関の性能は大幅に改善される。
(6)排気タービン過給機の構造
排気タービン過給機は、通常一段の排気ガスタービンと、その同一回転軸上に取り付けられた遠心式コンプレッサとよりなっており、排気により過給用コンプレッサを一駆動する装置である。
現在わが国においても数社において種々の形式のものが製作されているがその構造は大体同様である。
?軸流式タービン過給機(アキシャルタービン)
軸流式タービン過給機はガスがタービン翼内を軸方向に流れる形式で最も普通に用いられ、2・199図に示す様に端部よりガスを入札、中央部より排気する構造が多い。タービンブレード及びタービン翼はSUSまたはナイモニック等の耐熱鋼製で、現在の所最高600℃〜650℃まで使用して差支えない。ブレードの翼車への取付は、クリスマスツリー型または、球根型の植込式とするか、あるいは溶接する。タービン翼車は回転軸と一体構造もあるが、焼嵌めあるいは押込式のものが多い。

 

 

 

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